「絵画の在りか」

の被膜によって、浮かび上がる、筆致の痕跡という実在とイメージとの中間領域に/明治以来の日本人画家たちによる空間表現との格闘の過去を暗示する/多くの作品では近景と背後の遠景の2つの世界が存在し、異質な空間や世界の共存が画面に奇妙な違和感を生み出している。前景にしばしば/サンプリングし、そこに自ら考案したアニメ風のキャラクターを描き加えることで/その場に不在の人間たちによって演じられた過去のドラマを暗示し、現実と虚構が融合したミステリアスな画面は、欠落した時間や/モティーフを重ねるなど、マスキングを繰り返すことによって重層的な構造をもった画面/を展開している。ストライプの構成を施した紙を丸めて生じたゆがみを忠実にキャンバス描く制作方法が、抽象と具象の境界を曖昧に/よってのみ感受されうる微細な情報が、私たちの感覚の解放に少なからぬ影響を与えると考えて/絵画とそれに向き合う鑑賞者の関係性への言及にみちている。そのため、/描かれた人物を特定することはまず不可能だ。画面全体にのたうちまわるかのような躍動感のある大きなストロークは、身体性を強く感じさせると同時に/、奥行きや背景の処理、複数のパースペクティヴの混在など堅実かつ卓越した描写力と/ハリウッド映画やテレビ番組のワンシーン、あるいは歴史的な出来事の記録写真を自由にトリミングし、あえて/声高に絵画の存在を問うのではなく、あらゆるモノが絵画となりうる時代を肯定的に捉えて、柔軟な感性によって/ストライプ、ドッド(水玉)、カラーフィールド、パターンなど、地や背景がきわめて重要な構成要素となっている。/もともと実在するものを描くのではなく、想像力や記憶を頼りに、脳裏に浮かぶ/抽象的な色面、空、大地などで画面全体を覆うことで背景の奥行きを制限し、その前に/両性具有、プリズムなどのシンボルを用いて、自然と人工の対峙と融合、時間などを探求する/きわめて即興性に富んだ制作方法は、しばしば街頭でのライヴ・ペインティングというかたちでも披露される。新作では/色彩と形態、イメージと知覚、絵画と身体感覚などをテーマに、新しい絵画の構築を目指して/抽象形態による画面構成へと進み、色彩への意識も高めながら、絵画の枠組に対する問題意識を深めて今日に到っている/のだが、支持体と絵具の関係を問い直すものであり、絵画=平面という固定観念を大きく/近接し、独自のリアリズムとリリシズムが同居するなかに、移動、旅行、時間という概念を含んでいる。/意識的に曲線を避けて直線のみで構成することによって、物理的なサイズは感じられなくなり、小さな/画面の上から下へとシステマティックに描き進める制作方法は、制作途中から作家の意図しない絵肌をもたらし(以上、展覧会カタログからの引用)
https://www.operacity.jp/ag/exh166/