2009-01-01から1年間の記事一覧

神の子、マラドーナ

中学の時、僕は規則がんじがらめの寄宿舎生活を送っていた。ワールドカップメキシコ大会の生中継はたしか朝2時頃からやっていたので、高校生の先輩2人と一緒に学習室のテレビを無音にして(この時ほど僕はろう者なのだと痛感したことはなかった)サッカーの…

「恋も忘れて」

東劇で清水宏の「恋も忘れて」(1937)を見る。戦前の横浜を舞台とした水商売の母子家庭の物語を撮ったこの映画は全てに緩やかなリズムが流れている。横浜港の風景ショット群のずばぬけたセンスに唸り、幼顔と成熟した色っぽい身体のアンバランスが魅力的な…

ジャームッシュとプーマ

久しぶりのブログ。さて今回の映画雑感は、だいぶ前に観た「リミッツ・オブ・コントロール」。前作「ブロークン・フラワーズ」以来4年ぶり、ジム・ジャームッシュ監督の新作なわけだが、本場ハリウッドやハリウッド化されつつあるアジア映画、あるいは、涙腺…

長州ファイブのなかの1人

「5人のうち、3人が残り、そのうちの1人が、グラスゴーでろうの労働者に出会うとせよ」 アクリル/キャンヴァス F30

「右は青、青は左、左は黄、黄は右」

白金にある山本現代で小林耕平の個展「右は青、青は左、左は黄、黄は右」を観る。東京近美の「ヴィデオを待ちながら」にも小林の作品が出品されていたのだが、その時は60〜70年代の伝説的なヴィデオ作品群に凄まじく圧倒されていて、しかも小林の作品は最後…

小品展のお知らせ

東北沢の現代HEIGHTSでの小品展に参加しています。

松本陽子のうごめく絵画

国立新美術館で「光 松本陽子/野口里佳」を見る。光をタイトル、テーマに2人の芸術家を取り上げているのだが、絵画と写真の2つの個展が隣り合わせにそれぞれ勝手に行われているという、企画の主旨が掴みにくい感じだ。展示全体の印象はさておき、だが、あ…

ロシア文字をダブらせてみる

「キノプラウダ」 アクリル・キャンバス F15

三文役者、殿山泰司

京橋で「黒の報告書」('63)を見る。これまでに、増村保造の映画を20本近く見てきたが(もちろん日本語字幕無し)、初めて増村の映画を面白くないと思った。というのも、あらゆるジャンルの映画を撮る天才的職人監督である増村でも法廷ドラマとなれば、…

「精神の声」

作品時間、328分。時間単位に変えると5時間28分だ。この非日常的な数字に一瞬ためらったが、勇気と気力を振り絞って水道橋へと見に出かけた。冒頭の第一話にして、いきなり固定ショットが捉えるモーツァルト、メシアン、ベートーヴェンの音楽がかかっ…

肉眼<映画眼

「キノグラース」 アクリルにキャンヴァス F8

「NOISE」

すげー素晴らしい体験をさせてもらった。いやー、爆音って素晴らしい!!!僕にとっては、聴覚のかわりに視覚と触覚の融合で音楽の醍醐味を大いに味わわせてもらった。アート・ロック・フェスティヴァル出演者のステージ映像とアサイヤス監督のカオスなイメ…

ろう者の視線とはなにぞや

ポレポレ東中野で「ゆずり葉」を観る。ろう者の監督による邦画の商業映画上映は、9年前の米内山/大澤共同監督の「アイ・ラブ・ユー」以来、2度目となる。その9年の間、ろう者による映像製作の市民権が漸次的に高まり、着実に進化しつつある。「ゆずり葉」…

「ブッシュ」

うすら気味の悪い、苦虫を噛んだままいつまでたってもペッと吐き出せないような、何ともいいようのない映画だ。見るに耐えられない映画というのでもない、全世界を不幸に陥れた一番の張本人、前アメリカ大統領ジョージ・W・ブッシュの非現実的ともいえるあ…

ろう者と音楽

聴覚障害者のロックバンドを撮った映画「ジャップ・ザ・ロック・リボルバー」を観て、ろう者である僕はとても複雑な気分だ。僕も耳が聞こえないが、音楽の世界、特にロックには、憧憬の眼差しをずっと向けている。僕の描く絵画作品にもロックのイメージを借…

ヤングブラウンコバーン

「サイレントロック」 アクリルにキャンバス F50

アクチュアルな2人の巨匠

ゴールデンウィークでは、クリント・イーストウッドの「グラン・トリノ」とジョナサン・デミの「レイチェルの結婚」の2本を観る。ミニマルな場所、家族の崩壊そして再生、多民族社会を抱えるアメリカの現実、孤独な人生。それらは2本の映画の画面内に描写さ…

「ヴィデオを待ちながら」

久々にとても面白い美術展を観た。ちょっと高かったけど美術展のカタログを買ったのもとても久しぶりだ。本棚を見てみたが、その前はオペラシティギャラリーでの「リュック・タイマンス展」のようだから、9年振りに買ったことになる(もう少しお金があれば、…

見上げる風景

「Oasis live」 アクリルにキャンバス S40

JLG+DV

「またの間の出来事」 アクリルにキャンバス F15

ショーン・ペンという生き方

以前にショーン・ペン監督の5作目である「イントゥ・ザ・ワイルド」を拝見した時は、実際に在った真直ぐな生き方に心を揺さぶられたのだが、ありきたりにも見える「私」探しをテーマにしたこの物語をショーン・ペンが撮ることに戸惑いを感じたのも拭いきれ…

類まれな才能を持った女優、小池栄子

池袋で、「人はセックスを笑うな」と「接吻」の邦画2本立てを観る。まず、「人はセックスを笑うな」。タイトルに似合わず、のほほんとした映画だった。将来アトリエを構えたいと思っている場所、群馬県桐生市がロケ地だったので、興味深く観ることが出来た…

僕の誕生年に起こった出来事

「あさま山荘事件」アクリルにキャンバス 1303mm×970mm

「女鹿」

先日、久々に得体のしれない、とんでもない映画を観た。クロード・シャブロルの「女鹿」だ。1968年のフランス映画である。1968年のフランスと言えば、今までにない新しいタイプの学生主導の革命運動である5月革命が起こるのだが、「女鹿」を観ると…

パレスチナ

「パレスチナから遠く離れて」 アクリルにキャンバス F30

初作品画像アップ

「僕は歌って踊る芸人」 アクリルにキャンバス S20

ジム・ランビー:アンノウン プレジャーズ

ひっそりとした閑静な住宅街にある近代的価値を有する元邸宅。玄関に近づくと沢山の客を乗せたバスが通り過ぎる。今朝、とある駅前で見かけた派遣らしき労働者を詰め込んだバスとは正反対の印象がよぎる。元邸宅の中に入ってみると、白黒の幾何学的模様が僕…

「早春物語」

澤井信一郎の「早春物語」を観る。不思議な映画だ。80年代のバブル最中に撮られたこの映画は、かつてない不況に見舞われている現在のなかで観ると時代錯誤的な印象ばかりが目につく。社会状況のズレだけでなく、欧米コンプレックス丸出しの描写にも失笑し…

展示お知らせ、あるいは名コンビ

すでに展示期間に入ってしまいましたが、展示のお知らせです。Analytic Limits 遠山陽子/福田幸久/佐藤譲二2009.1.28(wed)-2.22(sun) 13:00-21:00/火-土 13:00-19:00/日 closed on Monday opening reception 1.31 18:00- AISHO MIURA ARTS http://aishomiu…