2013-01-01から1年間の記事一覧
ハビエル・バルデムをスクリーンで見るのは、冷酷非情な殺し屋を演じた「ノーカントリー」以来なので、今回の派手好きでおしゃべりな実業家(ライナー)の役柄にはあまりにもイメージチェンジすぎて、ギャップの落差についていけなかった。バルデムが出演し…
前のブログで、指文字+手話よりもマウジング(音声なしの口型)を優先してしまうのがろう者の実際の状況であると書いたが、より正確に言えば指文字+手話を使う時でもマウジングがともなってしまう。つまり、指文字+手話、指文字を使わない手話(例「パソ…
「佐藤」「甘い」「砂糖」「デザート」、4つの手話単語は同じである。指を伸ばした右手の手のひらを口元において回す。ろう者がこの同じ4つの単語を区別できるのは、口型(口の動き)と非手指動作、そして文脈の位置関係によってである。手話は同音異義語…
つかの間のパラダイスは、現実世界から脱出した暁の行き着いた場所だったのだろうか。それとも乱痴気騒ぎの一時的なあいだだけだったのだろうか。4人の女子大生の逃避行は時間の流れに沿って展開するのだが、前後のシーンが折り畳むように交錯しているので…
〈ぶるうらんど〉とは、どうやら死後の世界のことらしい。世界的画家である横尾忠則が書いた4つの短い小説からなる「ぶるうらんど」という題名の短編集を読む。4つの短い小説と書いたけど、実際は4話ともストーリーが一話ずつズレた感じで連なった仕組み…
賭けに熱中する観客に囲まれる円形闘技場の中心には足に剣を付けられた2匹の鶏が激しくぶつかり合う。スローモーションで美しい放射状を描く血しぶきをよそに鶏の一心不乱な表情には闘争本能以外何も見当たらない。お互いぶつかる直前にジャンプをする時、鶏…
美術、映画鑑賞から遠ざかっている現今のなか、仕事、絵画制作、手話講座の合間をかいくぐって東京都写真美術館へ「日本写真の1968」を見に行く。またもや1968年前後の時代にたいする憧憬とも幻想ともつかないような何かよくわからない情緒から今回は恵比寿…
アクリル絵具から油絵具に変えた。約20年ぶりに油絵具を使ったのだが、匂いが少なくなっているのには驚いた。制作空間と居空間を一緒にしている僕にとってはありがたい。実際に使ってみるとアクリル絵具の時にはあまり感じられなかった絵具の物質性がカンヴ…
「裸のロック」S20 油彩/カンヴァス
詳細のネタバレあり。展示期間後の感想になると思うのでお許しを。 最近、耳が聞こえない建築学の研究者である木下さんのサイトを見つけたのだが、そのなかに木下さん本人出演の映像作品が武蔵野美術大学の卒制、修了制作の優秀作品展で上映されているという…
「花街」アクリル/キャンヴァス S10
「タブー」 アクリル/キャンヴァス S50
ベーコンの絵画の主要イメージといってもいい肉塊はエイリアンを想起する。人間の身体ってよく見れば不気味な感じがする。例えばお風呂で身体を洗うとき、手足の五本指なんか一本ずつ洗うはめになるので、いちいち面倒くせーなと思いながら意識し始めると自…
先日、閑静な高級住宅街のなかにひっそりと佇む原美術館へ行く。とても久しぶりだ。ポルトガル現代芸術を代表するアーティストの二人展「 MU 〈 無 〉ー ペドロ コスタ&ルイ シャフェス」を観る。ペドロ コスタはこれまで彼の映画をほぼ全部見ていて好きな…
「目隠しアイドル」 キャンヴァス/アクリル F80
「キッチンで股抜きプレイ」 キャンヴァス/アクリル S80
僕の絵画制作方法はこうだ。まず素材となる写真や画像を3〜5点選択する。自分で撮った写真からネット画像まで様々であり、1つのテーマを決めて関連する映像素材を集中的に集めることもあれば、恣意的に脈絡を欠いたセレクトもする。選択したいくつかの映…