2008-01-01から1年間の記事一覧

曾根+田中

今、渋谷でロマンポルノ特集が再び行われている。僕は、急遽グループ展参加が決まり、一分一秒も惜しんで作品制作に取り掛からなければならないはずなのだが、ロマンポルノといったら見逃すわけにはいかなく、いそいそ渋谷に見に出かけてしまうのであった。…

個展のお知らせ

12月頭に、新宿曙橋で個展をやります。 一週間と短い期間ですが、皆様のご来廊をお待ちしております。 佐藤譲二展 / overlap and fix2008.12.2(tue)〜7(sun) 13:00〜21:00(最終日は19:00まで)MOTT GALLERY 〒162-0065 東京都新宿区住吉町10-10 TEL:03-6…

ヴィック・ムニーズ

渋谷でブラジル人美術作家のヴィック・ムニーズ展を観る。美術史に残るような名作などを、絵具以外の素材、日常生活のなかで身近にあるものを使って描き、それらを写真に収めるという、まわりくどい作品制作過程をもったムニーズの作品なのだが、巨大なプリ…

日米ステイニング

たまたまなのか、意図的なのかどうか知らないが、同時期にステイニングの大作家である丸山直文とモーリス・ルイスの展示が行われている。両作家ともこのように幾多の作品がまとまった展示は今後もなかなか無いんじゃないか?幸いにも両方の展示を見ることが…

トミー・リー・ジョーンズのしわ

今年の浦和はもう終わった…。あきらめの早い浦和依存症の僕は無気力になってしまい、何に対してもやる気が出てこない。気を取り直したいのだが、ゲルトは自信喪失のまま(顔を見ればあきらかだ)今季の試合を指揮し続けるのだから、フラストレーションがます…

「エモーショナル・ドローイング」

先日、東京国立近代美術館で、「エモーショナル・ドローイング」展を観る。ドローイングといえば、本作品になる前の段階、構想を練り上げる時とか下書きの時などに行われる作業を指すのが一般的な見方になるのだが、本展では、そのような行為からはかけ離れ…

爆音体感

オリヴィエ・アサイヤスの「レディ・アサシン」「Clean」を見る。どちらも孤独に生きる、年齢的にはもう若くはない女性が出る。二人の女主人公は、歪んだ身体的な痛みをひきずりながら先に向かっていく。日本人との取引でレイプされ、SM行為からくる倒錯的な…

「ハプニング」

どこかで見たことある光景だ。田舎にぽつんと建つ一軒家、何にもない野原、車が少ししか通らない無表情な道路。それらの風景に、魂を抜かれた人間が不自然に現れる。ジョージ・A・ロメロの「ゾンビ」だ。だが、「ゾンビ」はうろうろしながら、ずっと動いてい…

ジェロニモの諦観

今、僕は脳震盪を起こして意識がまだもうろうとしている。ダグラス・サークにこてんぱんにやられたのだ。最後のとどめが凄まじかった。「悲しみは空の彼方に」である。人生は絶望しかないのに生きずにはいられない大いなる深遠さ。心の中ではずっと魂を揺さ…

衣笠のサイレント二本立て

サイレント映画を観るのは久しぶりだ。前にこのブログで僕はサイレント映画から多大な影響を受けていると書いた事があるのだが、たまにサイレント映画を観なければ僕の視覚的表現における感覚あるいは思考が鈍ってしまうような気がする。ろう者である僕は、…

「デスペア」

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーは、37歳で亡くなったにもかかわらず、映画作品、テレビ作品は、ゆうに40本を越える。だが、どの作品も濃密な出来上りになっており、鑑賞中の僕は、強烈な刺激をシャワーのごとく浴びられている。ファスビンダーの脳の…

「ノーカントリー」

上映終了間近になって、「ノーカントリー」を観る。6、7本しかみてないが、私としてはコーエンブラザーズの作品の中では「ファーゴ」を凌ぐ最高傑作になったのではないかと思う。現代の死に神こと、殺し屋シガーの存在ばかりが、ひときわ異彩を放つ。その強…

ターナー賞あるいはホルマリン漬けの牛

森美術館にて、「英国美術の現在史:ターナー賞の歩み展」を観る。現在、世界の美術界において最も活気があると言われているイギリスの現代美術を一応だけど総括して観られるわけだから、早速観に行ってみた。でも実際は半分以上が野次馬根性で、ダミアン・…

6人のボブ・ディラン

トッド・へインズ監督最新作「アイム・ノット・ゼア」を観る。この映画を見る前に6人のキャストがボブ・ディランを演じるという予備知識を植え込んでしまったせいか、本作が始まるなり、6人演じる容姿が黒人から女性が演じる似姿まで無差別に出現し、しか…

若松孝二レトロスペクティブ

一ヶ月ほど前のことなのだが、渋谷シネヴェーラへ若松プロの映画を見るために足繁く通っていた。若松プロの映画は、60・70年代の全共闘と切っても切れないほど深く関わっている。全共闘の反権力的なたかぶり、凄まじい破壊力、そして敗北後の挫折、空虚…

「ミスター・ロンリー」

「ガンモ」「ジュリアン」のハーモニー・コリンによる、なんと8年ぶりの新作である。僕の5年ぶりの個展を凌ぐ空白の年月なわけだが、映画界と無縁な生活を送っていたわけではない。ガス・ヴァン・サント監督の映画に出演しているし、他映画の脚本も担当し…

個展のお知らせ

お知らせが遅くなりましたが、現在北沢で私の個展が行われています。何人かがネットで先に私の個展情報を流してくれていて、私自身不甲斐ないです・・・。皆さん、どうもありがとうございます! 5年ぶりの個展です。 モノクロ画面は相変わらずですが、画風…

「女教師 私生活」

この映画は僕の生れた次の年に撮影されている。僕が生れた70年代の邦画を観るという体験は、一種の不思議な感覚が生じ、何ともいえないような気分が高じる。幼少時代の記憶なんてひとかけらも無いはずなのだが、デジャヴともいえるような妙に生々しい懐か…

ある企画展示のなかの牛腸 茂雄

東京国立近代美術館に牛腸 茂雄の写真が展示されているというので、早速見に行ってみた。「わたしいまめまいしたわ」という逆さ言葉のタイトルが示す企画展のコーナーのひとつに展示されていた。〈わたし〉の根拠を問い、〈わたし〉と〈他者〉の関係を探ると…

「日陽はしづかに発酵し…」

冒頭から始まる、低空飛行の視線からとらえた延々と続く中央アジアの俯瞰風景は墜落によって中断する。続いては、その土地に住む人々が引いたり寄せられたりした画面に収められる。それら人々の顔には閉塞された風景のなかで、生きる希望を失い、発狂寸前す…

「夜顔」

冒頭でオマージュを捧げているように、この映画はルイス・ブニュエル監督「昼顔」の38年後の続編という形をとっている。「昼顔」は、カトリーヌ・ドヌーヴ演じる人妻が、主人を愛するがゆえに、他の男性と寝ずにはいられなくなるという倒錯的愛情の為、昼間…