都知事選と斉藤和義

今日は都知事選挙の投票日だ。もう結果は見えているような気がする。これほど注目が集まらない、超低関心な都知事選は今までにはないんじゃないか?それでも僕は自転車に乗って近くの小学校へ投票しに行く。大震災後の普段の生活をまだ取り戻していない時期に、あらかじめ決まっていた選挙を強行するのは、どう考えてもありえない。候補者の考えていることをじっくり吟味して投票するのが本来の選挙だと思うのだが、有権者はイメージだけで投票することしかできなくなってしまっている(だからメディアに強い現都知事や元タレントは後だしをしたがるのである)。で、僕は反原発の立場(二枚舌の方ではないよ)をとる候補者に投票します。

斉藤和義の反原発ソングが話題になっている。賛否両論がヒートアップしている感じだが、僕は、斉藤和義のアクションを断固援護する。たんに反原発だからではなく、国民を同じ心情に向かわせる世の不穏な空気に真っ向から抵抗するその勇気からだ。僕は音楽を聞くことはできないけれど、その歌詞を読んでみるとメロディにのせる言葉のセンスが素晴らしい。大震災後の現在に生きている僕たちの本当の心境をそのまま歌詞にしただけの偽りのないシンプルさがある。「がんばろう」「心は一つ」「日本は強くなれる」「信じている」などの聞こえのいい抽象的な言葉が氾濫するなか、斉藤和義の赤裸々なストレートな言葉はとてもスカッとする。自己満足なんかではない。反原発と言うけど、電気のおかげで日々の生活が送れているじゃないかという声もあるが、そんなことは百も承知だ。現在生きるということが矛盾そのものでありそれを全面的に受け入れたうえで、曖昧さに逃れずにその時に感じたことを不特定多数の人々に正直にぶっつける。それが本来のミュージシャンの仕事であり、ミュージシャンしか出来ないことだと思う。北野誠の二の舞にならないことを願う。